84. とりあえず 手続きして

「中ジョッキ三つ。枝豆とポテトチップでいい? とりあえず」

「会社、またやめちゃったんです」
「えっ、何っ?・・・。」
「・・・」
「でも、・・・。 一年近くよく続いたんじゃない」

三人とも、なんにも言わないでビール飲んだけれど、
高田君も田中さんも味がしなかったでしょうね。

「で、どうするの?」
「・・・・・」

「そうだ、あの会社、たしか失業保険入ってたんじゃないの?」
「ん? そうだったかな?」
「ちゃんとした会社だっていってたんじゃなかった?」
「ちゃんとしてなんか、いないよ。給料日の次の日にやめられたんだから。」

「そういえば、経理の人が
一週間くらいして一度、来て下さいっていってたけれど・・・」
「とりあえず、手続きして、その間にゆっくり仕事探せばいいんじゃない!」

その一言でなんだか、元気が出ました。それから、三人で盛り上がって。
といっても盛り上がったのは私と田中さんだけ、
あの晩も高田君がどんな顔してたか思い出せない。

その晩ずいぶん遅くアパートに戻ったら、
入り口に辰井さんの手紙が挟んでありました。
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by chigsas | 2010-04-19 15:16 | 小説