90. 明日から とりあえず 電話番

田中さんの友人の事務所、境事務所と同じS駅から行くんだけれど、
全然ちがう雰囲気の場所にありました。

お酒屋さんが店の隣に持っている二階建ての二階、一階がは倉庫でした。
こんな都心にこんな場所がと思うようなところ。
なんと、隣には原っぱがあったんです。
原っぱはお酒屋さんの土地で、古い倉庫を取壊した跡でした。

事務所を始める篠原さん、あの頃40代半ば。
まだ、部屋を借りたばかり、準備中でした。
スティールの机三つとスティールの戸棚、電話、ダストボックス、
それとなぜか、傘立て、
ブラインドもカーテンもなくて殺風景な10畳くらいの部屋でした。

「今日から、っていうわけにはいかないから、
明日からとりあえず電話番、お願いします」
「はい、よろしくお願いします」

田中さんが、いろいろ話してくれてあったんでしょうね。
「ここは、下が倉庫だからか、冷えるんですよ。
気温は高くてもじっと座っていると、こたえるから、
暖かくしてきて下さいね」

帰りがけの、一言。
うれしくて田中さんの顔を見たら、田中さんもニコッと笑いました。

次の日朝10時にと言われたので、事務所に行くと、
篠原さんは部屋の隅の流しでお湯を沸かしていました。

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by chigsas | 2010-06-04 14:59 | 小説