91. 古い電話帳 新しいノート

「お掃除しますか?」
「ああ、・・・・。コーヒー一服してからで。
明日からお掃除と朝のコーヒーお願い。」
「はい、」
「いろいろ、かみさんが買いそろえてはくれたけど、
まだお客さんも来ないし」

インスタントコーヒーを自分でいれて、一服してから
「じゃあ、出かけてくるから」
ふらっと言う感じで、篠原さんは出ていきました。

出かけに
「電話そんなにかかってこないけれど、この紙にメモしておいて。」

「あ、それから、そこの電話帳、仕事に使ってきたんだけれど、整理お願い」
と、仕事ももらえました。

表紙が取れそうになった古い電話帳が、
新しい大学ノートの上に重ねて、篠原さんの机にのっていました。

ノートをあけると、2ページ目の左上に、私も良く知っている出版社の名前。
古い電話帳には1ページ目にメモ用紙がはさんでありました。
赤い線が引いてあってその線の上に出版社の名前。

それを見て、元気が出ました。
言葉よりわかりやすい、ここなら長く勤まるかもしれない、
と思ったから。

窓を背にした大きな机が篠原さん用、
私はその手前に二つ並んでいるうちの右側。左は空き机でした。
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by chigsas | 2010-06-10 09:17 | 小説