112. 日ざし も 明るい

たしか先輩の鹿浦さんから回してもらったアルバイト。
あのころあなた、デザインスクールの勉強より、
アルバイトの方が忙しくなっていたようでした、ね。

コーヒーの香りが、体中にひろがっていきました。

広い仕事部屋、壁も机も白い、日ざしも明るい。
あなたが動かす定規と鉛筆の小さな音。
少し離れたところで、静かに小さな花の絵を描いている。

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でも絵を描いているの、私じゃあなかった。多絵子さん。

静かで、幸せに流れる時間。

「あしたまでに仕上げる仕事、もうちょっとで終わるから・・・」
多分夢を見ていたんだ、瞬きするくらいの時間だったかしら。

あの日私、あなたに何を話したのかなあ。
by chigsas | 2010-12-06 11:30 | 小説