132. 不機嫌な 顔 と足音

母さんよりすこし年上らしいけれど、
全然違うタイプの女の人。

小兄さんがいつか
「マサオ君のお母さん、女子高の先生だった、んだって、
話の分かるヒトらしい」
うらやましそうに言ってたけれど。

あの一番最初のあなたのアパートで。
お母様からの電話で呼び出されたあなたが戻ってきたときの、
ほんの少しだけれど不機嫌な顔と足音、
今思いだすと違和感があったのかもしれません。

あなたのお家のこと、私は全然知らなかった。
聞きもしなかったし。お兄さんとお姉さんが多分一人ずつ。
とは知っていたけれど。今もなにも知らない。
お父様があの後すぐ亡くなって、少ししてお母様も。

あなたが何度か田舎にいったけれど。
私は当たり前のように一緒にはいかなかった。

母さんのとき、父さんのときも、同じでしたね。
あたしだけ、必要最小限。

「当たり前の世の中の付合いには、入りたくない」
「そうだよね」
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by chigsas | 2011-05-30 19:15 | 小説