135. 次の また 次

「上野を8時の特急で帰りますから、
その前に1時間くらい話できるように。
真雄の事務所に連れてってくださる?」

パッパッと電車の乗り換え時間も計算して。

わたしは、ただ、うろうろ。

あのハモニカのような事務所のあったあたり、
今は大きなビルになっている。

あの小さな扉を
忙しそうに開け閉めして出入りしていた人たち、
どこに消えたのかしら。

あの狭い廊下で行き会っても知らん顔で
すれ違ったいた人たち。

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あたしもそうだったけれど皆、
あそこに出入りするのが後ろめたいみたいな感じだった。

お母様が見えたときは、でも、あなたの仕事場は、
あそこの事務所ではなかったのよね。

あの頃はもう、ハモニカみたいな事務所の次の、
また次だったかしら。

鹿浦さんの会社が借りている大きな部屋を仕切って、
その一つがあなたのスペースだった
by chigsas | 2011-06-20 06:33 | 小説