139. そう 決めていた から

そう言えばあたし、あなたのこと、全然知らなかったんだ。
仕事のことも、私と一緒にいない時、どんな顔してるかも、
知らなかったんだ。

デザインていう仕事、あなたの場合いつも
製図板とT定規、細い鉛筆、ロットリングの世界だった。

世の中が急カーブで変わっていっても、
小さな囲いの中であなたがしていることは変わらなかった。
機械が入り込む隙間なんてなかった、よね。

ときどき、
あたしと顔を合わせたくない理由があるのかな? 
と思うほど、あなた、家にいなかった。

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もし、そうでも、
あたしは平気でした。
あなたが私と顔を合わせたくないなら、それでもいい。
そう決めていたから・・・・。
by chigsas | 2011-07-16 09:27 | 小説