145. 何かがパラッと切れて 落ちた

私が、あの事務所にいる理由、私からみても、
篠原さんから見てもなくなっているのは、はっきりしていたんです。

あのころ、もう
私は田中さんとほとんど行き来なくなって、
篠原さんも田中さんとは疎遠になっていたような。

私いつの間にか、あなたに、仕事のことや事務所のことを話さなくなってた。

あなたの一言で、私をまとめていた何かが、ぱらっと切れて落ちた。
「うん。やめて、いい?」
「・・・」

当たり前ののように、そのすぐあとに私は篠事務所を辞めた。


ほんとうは、あなたのほうが、仕事やめたかったんだ! あのとき。

どうして今まで気がつかなかったのかしら? あたし。
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by chigsas | 2011-09-10 15:05 | 小説