ホセアの女・・・5

田んぼの中の一本道だから。
車の中の固い空気はほぐれない。

Nとは、私もその日が初対面だった。

『あの活動』の仲間Mから電話で話しを聞いただけだから。

あの、なんと言い表していいか分からない、ネズミ色の建物。

そこにガタゴト揺れながら大きな乗用車が着いて、
後ろの座席からおりてきた、
ショートカットの髪を紅く染めた女がNだった。

「Mさんが電話してくれたとおもうけど・・・Nだけど」
ザラザラした声。

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助手席から降りた若い女の方に目をやる。
「これが、犬を貰いたいっていう子」

若い女は、私の顔を見てちょっと笑って、小さく首をふった。
「よろしく おねがい します」

言葉は丁寧で、ゆっくりした優しい声だ。