突然はじけた?・・・12
そのころ、本当の母親は、少年たちの心に
どんな場を占めていたのでしょうねえ?
県庁の街は山の中に住む女にとって、たぶん
一年に一度行くことも叶わぬ場所だった?
そう思えるのは、このごろになって、です。
お祖父さまの記憶も全然ありません。
都会で大きな会社に勤めていたという父親が亡くなって、
家族が屋敷に戻った時、
すでにいなかったと思います。
もしかしたら、記憶にないだけかもしれませんね。
いいえ。たぶん、
妹が生まれると間もなく父親が亡くなった。だから、
お祖父様さまが亡くなったのは、そのずっと前のはず。
母親に抱かれた記憶もありません。
気がついたらお祖母さまに手を引かれ、
どこへでもいつでも、一緒だったのです。
by chigsas
| 2012-01-22 19:14
| 短編小説