7.重い 荷物
思い出すのは、K病院から退院した日。
病院へ迎えに来てくれて、電車乗り継いでアパートまで送って、
それから終電の時間まで、ほとんど何もしゃべらないで、
お茶も飲まなかった。
あの日のあなたの優しさと暗さ、思い出しても、目だけでなく、
体じゅう熱くなってしまいます。
アパートの外階段を下りて帰って行く足音、
テーブルにうつぶせになって聞いていました。鉄の階段だから、
音が響くので、そーっと歩いている足どりが見えて、
最後の一段を下りて足音が消えても、
小さくカン、カン、と響く音、聞こえているみたいでした。
そしてあの時、あそこで起こったこと。
というより、私があそこでしてしまったこと、
私よりあなたの方が真っ正面から感じてくれていた、・・・。
この事件は、たった一人、あなたしか知らないこと。
だから、わたしのこれまでの人生から消してしまっても良いのに、
今、それが、私そのものなのです。
私のしたことは、今となっては私自身、どうしても許せることではないのに。
あのころ私は持たなければならない重い荷物をあなたに持ってもらって、
当たり前みたいに、今考えると気楽にしていたのかもしれません。
いや、そうではなくて、あなたが持ってくれているとも思ってなかった。
もし誰か、あなたに重荷をおしつけて気楽にして、
と指摘する人いたら、私の心に宿ってしまった悲しみを
あなたが償ってくれて当然と、言い返したかもしれません。
病院へ迎えに来てくれて、電車乗り継いでアパートまで送って、
それから終電の時間まで、ほとんど何もしゃべらないで、
お茶も飲まなかった。
あの日のあなたの優しさと暗さ、思い出しても、目だけでなく、
体じゅう熱くなってしまいます。
アパートの外階段を下りて帰って行く足音、
テーブルにうつぶせになって聞いていました。鉄の階段だから、
音が響くので、そーっと歩いている足どりが見えて、
最後の一段を下りて足音が消えても、
小さくカン、カン、と響く音、聞こえているみたいでした。
そしてあの時、あそこで起こったこと。
というより、私があそこでしてしまったこと、
私よりあなたの方が真っ正面から感じてくれていた、・・・。
この事件は、たった一人、あなたしか知らないこと。
だから、わたしのこれまでの人生から消してしまっても良いのに、
今、それが、私そのものなのです。
私のしたことは、今となっては私自身、どうしても許せることではないのに。
あのころ私は持たなければならない重い荷物をあなたに持ってもらって、
当たり前みたいに、今考えると気楽にしていたのかもしれません。
いや、そうではなくて、あなたが持ってくれているとも思ってなかった。
もし誰か、あなたに重荷をおしつけて気楽にして、
と指摘する人いたら、私の心に宿ってしまった悲しみを
あなたが償ってくれて当然と、言い返したかもしれません。
by chigsas
| 2009-07-18 09:38