44. いちばん おもしろい もの?
「すみませんでした。本当にお世話にばかりなりました」
少しぽかんとしているうちに、いろいろはっきり見えてきた、と思いました。
ノブちゃんの様子よりも先生の様子から、こうなること、
ちょっと前から気がついていたのかもしれないんです。
でも、現実に何がおきているか、私、分かってなかった。
あなたがいつも言っていた「いつも上の空」
先生は、自分の部屋に戻ると、封筒を持って戻ってきました。
それを私の前のテーブルに置いて
「事務的に片付けるようだけれど」
と言って、ちょっと間をおきました。
「今月分と来月分・・・」
「もっと多田さんにぴったりの仕事見つかるといい、けれど、
これがいちばん面白いってものを見つけて、
勉強するのがほんとはいいのかもしれない。まだ、うんと若いんだし・・・
おせっかいだけれど」
ここに私の居る場所がなくなったんだ、と分かりました。
いつも持ち歩いていたスケッチブックとさっきまで広げていた週刊誌を
ショルダーに入れて立ち上がりました。
「いっぱいいろいろお教えていただきました。ありがとうございました」
そういうのが精一杯でした。
お辞儀して玄関で靴を突っかけて外に出て、ちゃんと靴を履くために
うつむいたら、ショルダー抱えたまま、しゃがみ込んでしまいました。
マンションの入り口のドアが開く音に気がついて、
とっさにゴミ置き場に隠れました。
エレベーターが昇っていく音聞きながら、管理人さんの顔思い出しました。
ハンカチで涙と鼻みず押さえて。
余分な気持ち追い出すために頭を一振りして、
管理人室をのぞくと湯のみを手にして、手持ち無沙汰そうでした。
少しぽかんとしているうちに、いろいろはっきり見えてきた、と思いました。
ノブちゃんの様子よりも先生の様子から、こうなること、
ちょっと前から気がついていたのかもしれないんです。
でも、現実に何がおきているか、私、分かってなかった。
あなたがいつも言っていた「いつも上の空」
先生は、自分の部屋に戻ると、封筒を持って戻ってきました。
それを私の前のテーブルに置いて
「事務的に片付けるようだけれど」
と言って、ちょっと間をおきました。
「今月分と来月分・・・」
「もっと多田さんにぴったりの仕事見つかるといい、けれど、
これがいちばん面白いってものを見つけて、
勉強するのがほんとはいいのかもしれない。まだ、うんと若いんだし・・・
おせっかいだけれど」
ここに私の居る場所がなくなったんだ、と分かりました。
いつも持ち歩いていたスケッチブックとさっきまで広げていた週刊誌を
ショルダーに入れて立ち上がりました。
「いっぱいいろいろお教えていただきました。ありがとうございました」
そういうのが精一杯でした。
お辞儀して玄関で靴を突っかけて外に出て、ちゃんと靴を履くために
うつむいたら、ショルダー抱えたまま、しゃがみ込んでしまいました。
マンションの入り口のドアが開く音に気がついて、
とっさにゴミ置き場に隠れました。
エレベーターが昇っていく音聞きながら、管理人さんの顔思い出しました。
ハンカチで涙と鼻みず押さえて。
余分な気持ち追い出すために頭を一振りして、
管理人室をのぞくと湯のみを手にして、手持ち無沙汰そうでした。
by chigsas
| 2009-10-17 08:09