58. 秋の カケラ が
あの頃はまだ土曜日、休日じゃなかったから、
学校に行く田中さんと一緒にアパートを出ました。
「じゃ」と短く言って乗り換えの階段昇っていく田中さんの背中見てから、
私は新聞を買ってホームのベンチに。
部屋が決まったから次は仕事探し、だったけれど、
新聞にはめぼしい仕事でていませんでした。
数分おきに入ってくる電車、降りる人と乗る人の足元みていると、
腕が寒いと気がつきました。
半袖から出ている肘が冷たくなっていたんです。秋の朝でした。
なぜか、あなたの顔目に浮かびます。夕飯ごちそうになった夜、
駅の改札で、一瞬見上げたときの笑っていた目。
それからどうしたか、具体的には思い出せないけれど、
あの日、あんな時間にあなた、アパートにいたんでした。
部屋の前に立ったとき、中からテレビの音が小さく聞こえて、
すごくうれしかった。でも、ノックして、あなたの顔があらわれたとき、
「しまった、また、やってしまった。あなた、きっと困る! 」
けれど・・・。もう取り返しききません。
あなたがどんな表情をしていたか、見ませんでした。
だまって入り口を塞いでいた体をずらしてくれて、
つられて私が部屋に入ると、テレビを消しました。
「母さんにも、小兄さんにも、言わないでほしいの」
「ん? なにを?・・・・」
「・・・・・・・ 。」
学校に行く田中さんと一緒にアパートを出ました。
「じゃ」と短く言って乗り換えの階段昇っていく田中さんの背中見てから、
私は新聞を買ってホームのベンチに。
部屋が決まったから次は仕事探し、だったけれど、
新聞にはめぼしい仕事でていませんでした。
数分おきに入ってくる電車、降りる人と乗る人の足元みていると、
腕が寒いと気がつきました。
半袖から出ている肘が冷たくなっていたんです。秋の朝でした。
なぜか、あなたの顔目に浮かびます。夕飯ごちそうになった夜、
駅の改札で、一瞬見上げたときの笑っていた目。
それからどうしたか、具体的には思い出せないけれど、
あの日、あんな時間にあなた、アパートにいたんでした。
部屋の前に立ったとき、中からテレビの音が小さく聞こえて、
すごくうれしかった。でも、ノックして、あなたの顔があらわれたとき、
「しまった、また、やってしまった。あなた、きっと困る! 」
けれど・・・。もう取り返しききません。
あなたがどんな表情をしていたか、見ませんでした。
だまって入り口を塞いでいた体をずらしてくれて、
つられて私が部屋に入ると、テレビを消しました。
「母さんにも、小兄さんにも、言わないでほしいの」
「ん? なにを?・・・・」
「・・・・・・・ 。」
by chigsas
| 2009-11-29 05:12