66. 小さな 鏡 に
ママがエプロンを出してきて貸してくれました。
まわりにフリルがついた短い真っ白なエプロン。上着を脱いでこれを結ぶと、
それだけで、ウエイトレスらしくなったのに、自分でも驚きました。
中学生の頃、かあさんがエプロンを買ってくれた。
小花のプリントで胸当て付き、でも、一度掛けてみて直ぐにタンスの中、
それいらいエプロンなんてしたことがなかった。
カウンターの中にある小さな鏡に映る自分に、
「そんなカッコウさせられて、ふん!」
と、一言声をかけてみたけれど、
いやにすました顔をして、冷たかった。
手を洗っていると、ママの張りのあるきれいな声。
「いらっしゃいませ」
ドアが開きかけで、男の人が顔をのぞかせ、一瞬、立ちどまったようでした。
「今日から、アルバイトさんがきてくれることになったの。
よろしく。彼女おおたさん。」
「キイさんは、ご近所のお店のご主人。」
カウンターにおしぼりと灰皿をだしてから、
「おおたさん、テーブル、さっと拭いてね」
声の調子が、ぴっとかわった。たたんだ布巾を、カウンターのすみに置く。
そのとき、私の仕事はカウンターの外なんだ。と気がつきました。
カウンターから出て、布巾を持ってテーブルまでいくのに、
なんだか時間がかかったような感じでした。
テーブルがある空間は一段高くなっているのに気がついて、そこで、
脚を止めたからかもしれません。
「ホット、でいいですか?」
まわりにフリルがついた短い真っ白なエプロン。上着を脱いでこれを結ぶと、
それだけで、ウエイトレスらしくなったのに、自分でも驚きました。
中学生の頃、かあさんがエプロンを買ってくれた。
小花のプリントで胸当て付き、でも、一度掛けてみて直ぐにタンスの中、
それいらいエプロンなんてしたことがなかった。
カウンターの中にある小さな鏡に映る自分に、
「そんなカッコウさせられて、ふん!」
と、一言声をかけてみたけれど、
いやにすました顔をして、冷たかった。
手を洗っていると、ママの張りのあるきれいな声。
「いらっしゃいませ」
ドアが開きかけで、男の人が顔をのぞかせ、一瞬、立ちどまったようでした。
「今日から、アルバイトさんがきてくれることになったの。
よろしく。彼女おおたさん。」
「キイさんは、ご近所のお店のご主人。」
カウンターにおしぼりと灰皿をだしてから、
「おおたさん、テーブル、さっと拭いてね」
声の調子が、ぴっとかわった。たたんだ布巾を、カウンターのすみに置く。
そのとき、私の仕事はカウンターの外なんだ。と気がつきました。
カウンターから出て、布巾を持ってテーブルまでいくのに、
なんだか時間がかかったような感じでした。
テーブルがある空間は一段高くなっているのに気がついて、そこで、
脚を止めたからかもしれません。
「ホット、でいいですか?」
by chigsas
| 2010-01-04 11:36