67. あのころの 記憶
しばらくして、コーヒーのいい香りがながれてきました。
お店の中の空気が、すーっと軽くなって行くようでした。
「おおたさん、新聞をとじてくれない?」
ママがホッチキスと一緒に新聞を出して、カウンターにおいた。
わたしは、布巾もってぼーっと立っていたのかもしれない。
椅子に座るわけにもいかないし、どこにいたらいいのかもわからなかった。
「新聞の広告を外して、バラバラにならないように、ホッチキスでとめて、
二つに折ってあそこに立てて、昨日の新聞はこっちへ。
テーブル、使うといいわ」
見ると、マガジンラックに新聞が立ててありました。
キイさんが、一つ掴んでカウンターに戻って広げました。
その日は5時頃まで、店にいました。
「おつかれさま。また明日もお願いね」
「はい」と返事するのがやっと、ホントに疲れ果てていました。
疲れていたけれど、田中さんに会いにデッサン教室にいきました。
それなのに、まだ田中さんも高田君もきていません。
デッサンの道具も持っていないし、芦田先生もベレー帽の人も見えないし、
そのまま帰りました。
その日のこと、後はなにも覚えていません。
いいえ、その日だけでなく、あの頃の記憶ほとんどありません。
ほとんど毎日、午後は喫茶店でアルバイト、
夕方からデッサン教室に真面目に通っていたんだ、きっと。
お店の中の空気が、すーっと軽くなって行くようでした。
「おおたさん、新聞をとじてくれない?」
ママがホッチキスと一緒に新聞を出して、カウンターにおいた。
わたしは、布巾もってぼーっと立っていたのかもしれない。
椅子に座るわけにもいかないし、どこにいたらいいのかもわからなかった。
「新聞の広告を外して、バラバラにならないように、ホッチキスでとめて、
二つに折ってあそこに立てて、昨日の新聞はこっちへ。
テーブル、使うといいわ」
見ると、マガジンラックに新聞が立ててありました。
キイさんが、一つ掴んでカウンターに戻って広げました。
その日は5時頃まで、店にいました。
「おつかれさま。また明日もお願いね」
「はい」と返事するのがやっと、ホントに疲れ果てていました。
疲れていたけれど、田中さんに会いにデッサン教室にいきました。
それなのに、まだ田中さんも高田君もきていません。
デッサンの道具も持っていないし、芦田先生もベレー帽の人も見えないし、
そのまま帰りました。
その日のこと、後はなにも覚えていません。
いいえ、その日だけでなく、あの頃の記憶ほとんどありません。
ほとんど毎日、午後は喫茶店でアルバイト、
夕方からデッサン教室に真面目に通っていたんだ、きっと。
by chigsas
| 2010-01-07 06:56