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オシロイバナの記憶  17


オシロイバナは実は、あちらにもこちらにもいっぱいあって。
オシロイバナとあの小さな固い実が見えないのは私だけ?
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あなたが、わたしのまえに現れた今
あの時の母のように私は袋小路に迷い込んでいる。
私が一歩、足を踏み出すと、あなたはぱっと消えてしまう!

道は、
山を背負った古い蔵の扉に阻まれて
どこにも通じていない。

<了>
by chigsas | 2013-09-08 01:36 | 小説
オシロイバナの記憶 16
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by chigsas | 2013-09-02 11:45 | 小説
オシロイバナの記憶

父が突然消えた時のこと。
学校に迎えにきた母に連れられて駆けつけた病院の
「暗い部屋のベッドに横たわっていたもの」
としてしか記憶にない。
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母が妹を連れてどこかに出かけていた日、
おなかが痛くて寝ていたわたしに、
父が作ってくれたお粥。
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発電所の上のダムを見回りにいった父が、
「山を下りる途中で折った」と抱えてきた、
腕に溢れるほどのユリ。
by chigsas | 2013-08-30 13:56 | 小説
オシロイバナの記憶               

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オシロイバナの家の
一人娘だった母が、家と両親を
捨てて都会にでたとき。

父と出会って、
知らない小さな町に二人で
住むようになったとき。

そして、
あのオシロイが飛び散った、
あの記憶のとき。

その間の時間が、どのように
父と母の間に流れたのか、
わかりません。

想像もできません。
by chigsas | 2013-08-17 19:24 | 小説
母は私みたいな子どもが生まれたことを、母自身にたいしての罰と感じていたのです。
<自分の「思いの強さ」といおうか「我」がこういう赤ん坊の形になった>、
と思いこんでいたにちがいない。
見かけだけでなく、私のすること為すこと皆、母の気にさわった。
それはあたりまえだったんです。

今だから、分かります。私は今で言うなら、発達障害児だったんですから。

それで、美しく悧巧な妹が生まれたとき、母は自分の罪が濯がれたと、有頂天になったにちがいない。
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by chigsas | 2013-08-12 21:28 | 小説
オシロイバナの記憶・・・12
白い絹につつまれたジャガイモ

「真っ白い帽子と服に包まれて、
さとサマに抱かれていた赤ん坊。あんただったんだなあ、今思えば。

あんなかっこうのあかんぼなんぞ、見たことなかったけに、
ふわふわのお菓子みたいだ、と思ったけん。それだけだったが」

ツネオジさんの言葉から、私に頭に浮かんだのは
真っ白な絹に包まれたジャガイモでした。

「あなたは生まれたとき、まるでジャガイモだったのよ。
色が黒くてでこぼこで」a0134863_5404051.jpg



















ウソをつけない母が小さな子どもだった私にいった言葉。

でも、母は私みたいな子どもが生まれたことを、
母自身にたいしての罰と感じていたのです。
by chigsas | 2013-08-07 05:48 | 小説
「わしも、詳しくは知らんかったけが。音沙汰なくなっていたケイちゃまが
裏日本の小さな町にいるらしい。さとサマが会いにいったらしい。

おふくろが親父とコソコソ話していたのを、聞いただったか・・」

「しばらくして、
さとサマがあんたたち3人を連れて親戚一門に挨拶にまわったんだっけが。
そのとき始めてあんたのお母さんを見たっけに・・・」

「こんな田舎では見たこともないハイカラな人。だっけえ。」

父の遠縁のツネオジさんから、ずいぶん昔に聞いた話。
                    
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by chigsas | 2013-08-01 06:32 | 小説
オシロイバナの記憶ーーー10
今なら一緒に泣くことができるa0134863_5172744.jpg

血のにじむその傷口を毎日、
ガリガリこすって、
母は生きていたに違いない。

今の私より十も若かった母。

今なら一緒に泣くことができます。

あなたは忽然と、
わたしのまえから消える・・・

私から逃げるためでなく、
どこかに行くのでもなく消える・・・
理由もなく、突然消える。

今以上に私があなたに近づくと、
たぶん。そうなる。

そう思うだけで、
手の中に小さなイメージの黒い硬い種を
握りしめてしまいます。
冷たい汗もいっしょに。
by chigsas | 2013-07-26 05:18 | 小説
オシロイバナの記憶———9
母の心の中で爆発したなにか

「あたしの、せいなの!」
そのあとも、私を抱きしめて、まだ、
しゃくり上げていたようでした。

あなたが私の前に現われた、今
だから、はっきりわかります             
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あのとき母の心の中で爆発した何か。
言いたかったこと。
父に言いたかったんです。きっと。
私にではなく・・・
 
自分の半分がもぎ取られた。いや、
もぎ取られたんではなくて・・・。
母は、
「全て自分の『心と言うか、持ってはいけない何か』
がもとで起こしてしまった。」
そう思っていたんです!  
by chigsas | 2013-07-20 21:04 | 小説
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by chigsas | 2013-07-10 19:28 | 小説