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まずはお掃除、自分の部屋だって毎日満足にお掃除するわけではない
けれど、何だか楽しいような気分になりました。
流しの下には新しいポリバケツと古いタオルが2枚、多分ぞうきん用。
新しいモップもあったのでまず、床にモップ、
私にしてはていねいにかけました。
それから机の上のぞうきんがけ。これも丁寧にできました。

ぞうきんを洗って、バケツに掛けて、自分の手も洗ったら、
流しに手ふきタオルがかかっていないことに気がつきました。
濡れた手で、ハンカチをバッグから出しながら、
篠原さんに言えばいいのかな、とちらっと思った。

自分の机に落ちついてみたら、
「ウン、いい感じ、がらっとしているけれど、居心地いい。」
と思いました。でも、カーテンがあった方がいい。

篠原さんの事務所は雑誌の仕事をしているようでした。
主な仕事先は、<私も名前を知っている子供の雑誌>を出している会社、
らしかった。いろんな雑誌、だけでなく本もたくさん出している。

あいうえお順の古い電話帳のページに赤い線が何本も引かれていました。
新しい電話帳にどうやって整理するのかしらとボーっと眺めていて、
喉が渇いていることに気がつきました。水道のお水をコップにくんで、
椅子に戻ったら電話のベル。

一瞬ぴょんと飛びそうに驚いた。
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by chigsas | 2010-06-20 07:23 | 小説
「お掃除しますか?」
「ああ、・・・・。コーヒー一服してからで。
明日からお掃除と朝のコーヒーお願い。」
「はい、」
「いろいろ、かみさんが買いそろえてはくれたけど、
まだお客さんも来ないし」

インスタントコーヒーを自分でいれて、一服してから
「じゃあ、出かけてくるから」
ふらっと言う感じで、篠原さんは出ていきました。

出かけに
「電話そんなにかかってこないけれど、この紙にメモしておいて。」

「あ、それから、そこの電話帳、仕事に使ってきたんだけれど、整理お願い」
と、仕事ももらえました。

表紙が取れそうになった古い電話帳が、
新しい大学ノートの上に重ねて、篠原さんの机にのっていました。

ノートをあけると、2ページ目の左上に、私も良く知っている出版社の名前。
古い電話帳には1ページ目にメモ用紙がはさんでありました。
赤い線が引いてあってその線の上に出版社の名前。

それを見て、元気が出ました。
言葉よりわかりやすい、ここなら長く勤まるかもしれない、
と思ったから。

窓を背にした大きな机が篠原さん用、
私はその手前に二つ並んでいるうちの右側。左は空き机でした。
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by chigsas | 2010-06-10 09:17 | 小説
田中さんの友人の事務所、境事務所と同じS駅から行くんだけれど、
全然ちがう雰囲気の場所にありました。

お酒屋さんが店の隣に持っている二階建ての二階、一階がは倉庫でした。
こんな都心にこんな場所がと思うようなところ。
なんと、隣には原っぱがあったんです。
原っぱはお酒屋さんの土地で、古い倉庫を取壊した跡でした。

事務所を始める篠原さん、あの頃40代半ば。
まだ、部屋を借りたばかり、準備中でした。
スティールの机三つとスティールの戸棚、電話、ダストボックス、
それとなぜか、傘立て、
ブラインドもカーテンもなくて殺風景な10畳くらいの部屋でした。

「今日から、っていうわけにはいかないから、
明日からとりあえず電話番、お願いします」
「はい、よろしくお願いします」

田中さんが、いろいろ話してくれてあったんでしょうね。
「ここは、下が倉庫だからか、冷えるんですよ。
気温は高くてもじっと座っていると、こたえるから、
暖かくしてきて下さいね」

帰りがけの、一言。
うれしくて田中さんの顔を見たら、田中さんもニコッと笑いました。

次の日朝10時にと言われたので、事務所に行くと、
篠原さんは部屋の隅の流しでお湯を沸かしていました。

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by chigsas | 2010-06-04 14:59 | 小説