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でも、瞬間瞬間にあなたが感じていることはいつも、
私もその場で感じることできていた、よね。

感じていることを、
二人でいっしょに気がついたら、その瞬間に
風船が割れるようにぱん! と破裂して、後に残るのは、
小さな色の切れ端だけ。って

二人とも分かっていたんだ。ね、たぶん。

あなたが「感じていること」と「考えていること」にの間で、
雁字搦めになっていったことも、私、気づいていたんだ。

いつとはいえないけれど、少しずつ気づきはじめたんだ、
あなたも、
私が気づき始めたこと、分かっていたでしょう。ね。

私が、あなたの前から消えればいいんだ。
それも良くわかっていた。怖いから気がつかないフリを、

自分で、自分に、していたの。

あの晩、階段を下りる靴音が耳に残っている間に、もし・・・
そんなことあり得なかったと知っているのに。

私が裸足で、あなたの後追いかけていたら、・・・・。
あなたと私の間の鏡、砕け散っていた。
なんてことは、絶対に、

ない。
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by chigsas | 2010-09-26 19:10 | 小説
ふてくされていたでしょ、私?
病院の人たち、あなたと私の関係をどう思ったのかしら。
と今は思うけれど。

そして、あなたの後について、私、新しいアパートに帰ったのでした。
入院している間に、あなたと田中さんで探して、
荷物を運び込んでくれた部屋でした、ね。
荷物といったってたいしてなかったけれど。

多分5時間以上、二人ともなにもしゃべらなかった。

押し入れの中に段ボール箱がいくつか積んであって、
ベッドにふとんがしいてあるだけの空間。
部屋に入ったとき、
「私には一番相応しいところ」
と思いました。

田中さんにもあなたにも、大変な面倒をかけて世話になったのに。
あたし。ごく当たり前のことみたいに、知らん顔でした。

あなた、田中さんと、どのくらい話したの?
もしかしたら、何も話さなかった?
私も、彼女には何も話さなかったのと同じでした。

あなたって、いつも、何を考えているのか全然分からない人、でした。
今だって私、わからない。

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by chigsas | 2010-09-18 04:13 | 小説
今考えると田中さんが、どうして、ああいう知恵と知識が持っていたのか、
誰かに相談して知恵を借りたのか、不思議です。

あたしは、おとなしく、田中さんのいうことを聞いて、
いわれた通りにしていました。もう泣くこともなかった。
決定的に、私は私ではなくなっていたんです。
あなたのアパートで泣いて、空っぽになった頭、
心も空っぽになっていました。

田中さんのアパートに泊めてもらって、
確か次の日に田中さんに連れられてK病院にいった。

K病院に何日いたのか覚えていない。4日くらいだったのかしら。
憶えているのはK先生の言った言葉
「自分が何をしたか、見てみるかい? 向こうの部屋にあるものを」

何をいおうとしているかは、分からないわけではありませんでした。
でも、何も感じなかったのです。やはり、穴だらけの重い石。
もう一つ耳にのこっている、年とった看護婦さんのつぶやいた言葉
「赤ちゃんの泣き声、つらいでしょう」
今は思い返すと、身体の芯が冷たく重くなって、
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ふっと目だけがが熱くなるけれど。
あの時はなにも感じませんでした。

退院する日、あなたが来てくれるとは思わなかった。
by chigsas | 2010-09-09 08:14 | 小説
なのに、辰井さんの子供なのだと言はなければ、と思ったとたん
「いやだよ!あたし! ・・・。あたし、死にたくないよ。
辰井さんの子供なんか、産んでなんか。・・・・」
もう、涙なんかでないのに、からだ、ふるえていました。

しばらくして、私の震えが少し収まって
「今は、お産で死ぬ人なんていないんだよ、多田さん、」
「あたしは、死ぬ」

「辰井さんのこと、好きじゃあないんだ」
「嫌いでもないよ」

「野田さんの、子供、産むんなら、...」
「?・・・・」
「死んだっていいけれど・・・」

「辰井さん、きっと、多田さんと結婚するつもりかもしれない。・・・。話してみたの?」
「いやだ!! 絶対!」
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それから後に起きたこと。ウソみたいな、まるで夢の中みたいなことでした。私に、起きたこととは、今も、思えません。
by chigsas | 2010-09-02 14:24