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あなたから見たあたし、ちょっと気に入ったなにか?
ペットって飼ったことないから分からないけれど・・・、
でも、ちょっと違うよね。

良くある観葉植物で、玄関の靴入れとかの
上にのっかっていて、何時も同じで、
大きくなっているようにも見えないけれど、枯れない。
日が当たる様子もないのに生きてる。

ちがうねえ、これも。

そんなものでもないし。やっぱり分からない。
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一緒にでかけたこと、あまり覚えてない。
そうだ、I屋に行ったでしょ。
ね。

あなたの用事がある売り場と私が見たい物は
いつも違ったから、お店に入れば自然に別々になる。

パステル売り場だったか、
微妙に違う小さな色の固まりがいっぱいあって
嬉しくて夢中になっていたら、
知らない間に、あなたが横に立っていた。

あなたの、あのときの目。
思い出すだけで今だって、
体中熱くなる。
by chigsas | 2011-01-31 20:07 | 小説
めったに着ない白いワイシャツにネクタイ、始めて見たスーツ姿。
私、父さんや大兄さんのドブネズミスタイル見慣れていたから。
あなたが仕事先の固い会社に、
鹿浦さんと出かけるという格好見て、びっくりしたよ。

ワイシャツとネクタイって、すごーくイロっぽいんだ。
ほんとは。

これは誰にも言ったこともないけれど・・・。
わたしの意識のなかでも、
さっきまで眠っていた感覚かもしれない。

あなた、どんどん優しくなっていったの、あのころ。
そのぶん心は、あたしからは、離れていってたんだ。
なんとなくそう、気がついていたんだけれど。
今になると、はっきりわかるんだ。

あたしは、それが快かった。
っていうか、あなたのこころが離れていったことで、
平らかな気分でいられるから、
居ここちよかったのね、たぶん。
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by chigsas | 2011-01-24 14:58 | 小説
あのときのこと、
覚えてない?

覚えてない、なんて言わせない! 絶対!!

でも、もしも・・・・
あのとき、無意識に飛び上がったこと、
あなたがもし、覚えてないとすれば、

そのくらいあなたにとって大きなことだったんだ。・・・ね。

記憶の一番奥に押し込めなけりゃいけないくらい大きくて重くて、
持ちきれないことだったんだ。

あなた、そういう重い大きな物いっぱい心の奥に押し込めて、
その重みで、あの夜の海に滑り込んでいった。

かもしれない。
ね。
たぶん。

あなたが身の回りにいつもいるのが当然、そうなっても、
私にとってあなたがほんとの意味でセクシーなのは
変わらなかった。もしかして、
セクシーの度合いがどんどん深くなっていったのかもしれない。
ふだんは鳴りを潜めているのに、
ふっと浮かびあがってきて、私を脅かす感覚。
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あの、東町の家の玄関の前で、ばったり会ったときの、
あの感覚。そのまま。

同じ感じで、浮かんでくるあなた。
by chigsas | 2011-01-18 08:18 | 小説
だから、あなたのところに押し掛ける口実を、
よく思いつくようになったんだ。

「勘違いで写植の指定失敗して、スペースに収まらなかった」
「このごろ田中さんに連絡がつかなくて不安」
「篠原さんの奥さん、電話で素っ気なかった、
私、失礼なこと言ったみたい」
「竹内さん、ニコニコ笑って穏やかだけど、ほんとは、
何でもちゃんと見ているんだきっと、私がイヤなこと言っても、
ニコニコして、虫がすかない」

なんでもよかった。あなたのところに行く口実になれば・・・。

私、どんどん軽くなって、あなたが嫌いな女、
多絵子さんとはちょうど反対の女になっていく、
あのころ、そう感じはじめていました。

でもあたし、ちっとも憂鬱ではなかったし、
緊張もしてなかったんだ。ホントは。

そう言えば。
結婚してからのことだけれど、リビングの絨毯にころがって、
TVみていて、っていっても、あなたは転がったりしなかった。
転がるのはいつもあたし。

膝抱えてすわっているあなたに、
笑った拍子で私がちょっとぶつかった、

あのときあなた、びくっとして小さく飛び退いた!

実際は私の方が、大きく飛び退いた、
その勢いで洗面所に飛び込んだ。
鏡に映ったあたし、目がまっ赤でした。
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by chigsas | 2011-01-11 18:24 | 小説
「何か話すことがあってきたのに、急いで帰ってったから」
みたいなことを、あなたがいったのも思い出すけれど。

私は何を話しにあなたの部屋にいったんだったか? 
きっと何もなかったんだ。口実みたいに何か思いついてたんだ? 
きっと。それだけ。

あたしのいれたお茶、まずかったんだ、きっと。
湯のみに半分ほど残っていたお茶を見て、
ストーブつけるのも忘れていることに気がついた。
湯冷めしそうでした。

あの頃から、「あたしの歯車と、周りの歯車が少しずつ
サイズを調整しあって、あまりギシギシ言わなくなり始めていた」
ように、今は思います。

仕事場での私、あなたに会うわたし、一人でいる私。
いつの間にか「仕方ないんだ」って
あきらめ始めていたのかもしれない。

本を読んだりとか、絵を描いたりとか、音楽を聴いたりとか、
一生懸命集中してすることも、少なくなり始めたのかもしれないし。

あなたのところに押し掛ける口実も、よく思いつくようになった。

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by chigsas | 2011-01-04 18:21 | 小説