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ゴミ箱の横の箱にはいっていた子犬を、近所のうちの植木の下に隠して、パンと牛乳置いてきたらしい。
帰りに、二人でその犬を見に行くことに決まったみたいだったけれど。
なぜこんなことを思い出したのかしら、私。

あの犬、それからどうなったのかしら?
通りがかりについてくるもんだから追い返すことができない、捨て犬。

いつものように押しかけるつもりで、あなたに電話しました。
「うーん、今日は、ちょっと。カンベン」
不意をつかれた私、
「ん? なぜ」
「なぜって、んーん。・・・取り込み中なんで」

夕方の篠原事務所の電話だったけれど、事務所の建物がいっぺんにぐらっと揺れた。灯りも暗くなった、いや、もしかしたら反対に目がくらむくらい明るくなったのかもしれない。
「引っ越しの準備で」

「・・・・」
「・・・・」

「まだ話してなかったけれど、・・・・・」
「きゅうに、決まったことで・・・」
手に持っている受話器、音を立てて震えだしてたかもしれない。

「仕事場、もつことになったんだ。ここで仕事するの、落ち着かないし」
その瞬間私の頭、真空になった。
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by chigsas | 2011-02-23 14:48 | 小説
耳を澄ましてみました。息も止めて。
でも、隣のあなたの部屋、静まり返っていました。
あの夜も、
世の中で目を覚ましていたのはあたし一人だったんです。

あたしはペットじゃない。
そんなに可愛くないもんネ。

小学校何年だったか、隣の席の男の子が、
普段は全然仲良くない子だったけれど、そういえばあたし、
小学校の時、友達いなかったんだ。
その子が、

「おおたさん、犬飼ってる?」
とても真面目な顔でいったの。
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帰りがけに。
「ん?」
「犬、いらない?」
「んーん?
犬なんていらない」

そしたら
通りかかった子
を呼び止めた。
「可愛い子犬
なんだよ。」

ゴミ箱の横の箱
で鳴いてたのを
近所の植木の
下に隠して、
パンと牛乳
置いてきた
らしい。
by chigsas | 2011-02-15 09:29 | 小説
その晩ではなかった。

あなたが子犬を抱いていたの。
あなた、あの目をして。

抱いているのは子犬だと思っていたのに、
気がつけば、

ほんとうは多絵子さんだった。

目がさめて、窓から入る暗い光の中で、ジーとしていた 
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あたし。

こどものとき、もしかしたら、
赤ん坊にちかいくらい小さな子どもだったとき。
同じことがあった。

真っ暗な中で、知らないうちに目がさめていた。
かあさんが静かに寝ているのに、
私は隣で、目を覚ましていた。

目を覚ましているのは、世の中で、わたしだけだった。
真っ暗だった。
母さんの暖かいからだがが、横にあったけれど。

くっつくのは居心地悪い
みたいな気がして、ちょっと離れた。

寝ている母さんが、
無意識に引き寄せてくれようとしたらいい。

そこまでおぼえているのに、あのあと、どうなったのかなあ?
by chigsas | 2011-02-08 06:33 | 小説