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このブログ小説も、あと4、5回でお終い。
挿絵をパソコンで作ってきましたが、
小さなフォオとフレームに入れてスライド仕立てにし、
ささやかに見て頂くことにしました。
地震と原発事故に揺れる小さな街の画廊です。
会期は8月20日から28日。
住民は至ってのんき、避難地域にも入っていませんが。

案内はガキができました。もし、もし、興味もって下されば
おおくりします。コメント欄に内緒でお知らせ下さい。
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あたし、あなたが仕事しているのを、傍で見たことがなかったんだ。
あなたの仕事場に行って、いっしょに帰る時、定規を丁寧に拭いて
鉛筆もロットリングもちゃんと決まったところに立てて、
床の消しゴムの屑を丁寧にほうきで集めて、
ちりとりでとる。

それから最後に机の上を乾いた雑巾で拭いているのを待つていて、
「あなたは野生動物だ」と思った。
そのたびに、いつも、
あの最初に見た下駄をはいた足が頭をかすめたの、なぜかしら?

もう、消えてしまった、どこにもなくなったあなたの仕事場、
「あそこへ行こう!」って何度も思うけれど。最近。
もう消えちゃったあそこへ行きたい。

生成りのきめの粗いシーツ。ピロケース。
このざらざらした肌触り。

今は、あなたの匂いがここから少しずつ消えているかもしれない。
気がつかないうちに。
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by chigsas | 2011-07-27 09:42 | 小説
今思い出す、「ハモニカの穴」の一つみたいなあの部屋、
美代ちゃんと行った、公園の向こうの下宿と、
同じ匂いしてたんだよ。カビの匂いに近いけれど、全然違う匂い。

いくつか変わった仕事場、どこも、おなじ匂いだった。
必要なものしか見えていない場所。

人が、長い間、そこにいたはずのに、何の痕跡もない場所。
そこで暮らした人の息の香りだけが、少しずつ積み重なった匂い。

どの仕事場でも、あなた、
帰るときには、何もかもきれいに片付けていたでしょ。
自分のいた痕跡を残さないように。

仕事場を持ってから、
私がいくといつも、すぐ仕事を片付け始めた、
そういえば・・・・・。

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by chigsas | 2011-07-20 13:58 | 小説
お願い

昨日新聞を広げて目にとび込んできた文字

「ペットの野生化」
効果的な対処困難、警戒区域内の動物保護
と小さなサブタイトルが続いています。
写真もありました。
マスクを外して、片耳にかけた人と向こうの檻の中の犬。
暑さで口を開けて呼吸をしている犬は、優しく声をかけた人に、
応えているようにみえます。

原発事故で避難区域なら避難するときに置いていかれたペット、
家畜たちは野生化のおそれ。
獣医師の有志と動物愛護団体などのがボランティアをつのって
救護活動をしている。人も、保護する場所も資金も足りない。

読んでいて心が痛みます。
いくつかに役所び電話して、動物救護センターの連絡先がわかりました。
休日なのに、電話の向こうではいろいろな話し声が響いてきます。
忙しそうです。暑さの中、本当にご苦労様!!

もしも、ボランティアできそうな方ぜひ参加して下さい。
参加できないけれど、せめて資金を少しでもという方も。
連絡先は
福島県庁 食品衛生係(電話024−52−7245)内
福島県動物救護センター

by chigsas | 2011-07-18 15:49 | お願い
そう言えばあたし、あなたのこと、全然知らなかったんだ。
仕事のことも、私と一緒にいない時、どんな顔してるかも、
知らなかったんだ。

デザインていう仕事、あなたの場合いつも
製図板とT定規、細い鉛筆、ロットリングの世界だった。

世の中が急カーブで変わっていっても、
小さな囲いの中であなたがしていることは変わらなかった。
機械が入り込む隙間なんてなかった、よね。

ときどき、
あたしと顔を合わせたくない理由があるのかな? 
と思うほど、あなた、家にいなかった。

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もし、そうでも、
あたしは平気でした。
あなたが私と顔を合わせたくないなら、それでもいい。
そう決めていたから・・・・。
by chigsas | 2011-07-16 09:27 | 小説
最初に東町のうちの玄関のところでであったあなた。
あの時のあなたは、お祭りと結びつくんだって、今気がついたの。

ヒトが人間として社会を作っていく時に、
差し障りのある「ある種のエネルギー」、これは多分「性」と
深く結びついているものと、
いつからか感じ始めているんだけれど。

そのエネルギーの空気抜き装置がお祭りなんだ。
あなたが、聖書に求めたものも
それと関係があるんじゃないかしら?

お祭りのあの暗さと怖さ。
『そんなこと気づかない振りでニコニコ楽しむ』
なんて、恐くてできないよね。

あなた、そう言えば鹿浦さんと、遊びにいったこと、
なかったんじゃない?
一度だけ飲みに誘われたんでしたっけ。
なぜ、鹿浦さんとあなたが親しかったか、
お仕舞いまで、分らなかった。
もちろん今も、分んない。
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by chigsas | 2011-07-09 21:00 | 小説
vあたしの育った街には、お祭りってなかった。
デパートとか商店街の『xx祭り』という名前の
催しはあったけれど。

母さんの田舎で始めてお祭りに行ったときの、
あの感じ。心が重くなるの。

寂しいお宮の周りに夜店がいっぱい並んで、太鼓と笛の音。
提灯がつくから余計に暗い感じがする。
みんなが浮かれて歩いているのも怖かった。
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ヒトが、暗い空間の広がる地球の上で、暮らしていて、
内にため込んでしまう狂気を発散させる装置がお祭り。
って、そのとき、薄々気がついたのかもしれない。

わたしが、私として目を覚ます、最初の小さなトリガーだった。
母さんの田舎のお祭り。

あなたは、どこで、目を覚ましたのかなぁ?
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「お祭りって嫌い」って言ったとき、あなた、
何にも言わなかったから、
あなたの街にはお祭りがあるんだな、と思ったけれど。
あなたは、お祭りとか全然関心ないみたいに見えた。
それで、なんだかあたし、ほっとしたんだ。

あなたも、お祭りには関わりたくないんだ、
と私が勝手に決めて安心したのかもしれない。
by chigsas | 2011-07-02 20:18 | 小説