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オシロイバナの記憶

父が突然消えた時のこと。
学校に迎えにきた母に連れられて駆けつけた病院の
「暗い部屋のベッドに横たわっていたもの」
としてしか記憶にない。
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母が妹を連れてどこかに出かけていた日、
おなかが痛くて寝ていたわたしに、
父が作ってくれたお粥。
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発電所の上のダムを見回りにいった父が、
「山を下りる途中で折った」と抱えてきた、
腕に溢れるほどのユリ。
by chigsas | 2013-08-30 13:56 | 小説
オシロイバナの記憶               

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オシロイバナの家の
一人娘だった母が、家と両親を
捨てて都会にでたとき。

父と出会って、
知らない小さな町に二人で
住むようになったとき。

そして、
あのオシロイが飛び散った、
あの記憶のとき。

その間の時間が、どのように
父と母の間に流れたのか、
わかりません。

想像もできません。
by chigsas | 2013-08-17 19:24 | 小説
母は私みたいな子どもが生まれたことを、母自身にたいしての罰と感じていたのです。
<自分の「思いの強さ」といおうか「我」がこういう赤ん坊の形になった>、
と思いこんでいたにちがいない。
見かけだけでなく、私のすること為すこと皆、母の気にさわった。
それはあたりまえだったんです。

今だから、分かります。私は今で言うなら、発達障害児だったんですから。

それで、美しく悧巧な妹が生まれたとき、母は自分の罪が濯がれたと、有頂天になったにちがいない。
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by chigsas | 2013-08-12 21:28 | 小説
オシロイバナの記憶・・・12
白い絹につつまれたジャガイモ

「真っ白い帽子と服に包まれて、
さとサマに抱かれていた赤ん坊。あんただったんだなあ、今思えば。

あんなかっこうのあかんぼなんぞ、見たことなかったけに、
ふわふわのお菓子みたいだ、と思ったけん。それだけだったが」

ツネオジさんの言葉から、私に頭に浮かんだのは
真っ白な絹に包まれたジャガイモでした。

「あなたは生まれたとき、まるでジャガイモだったのよ。
色が黒くてでこぼこで」a0134863_5404051.jpg



















ウソをつけない母が小さな子どもだった私にいった言葉。

でも、母は私みたいな子どもが生まれたことを、
母自身にたいしての罰と感じていたのです。
by chigsas | 2013-08-07 05:48 | 小説
「わしも、詳しくは知らんかったけが。音沙汰なくなっていたケイちゃまが
裏日本の小さな町にいるらしい。さとサマが会いにいったらしい。

おふくろが親父とコソコソ話していたのを、聞いただったか・・」

「しばらくして、
さとサマがあんたたち3人を連れて親戚一門に挨拶にまわったんだっけが。
そのとき始めてあんたのお母さんを見たっけに・・・」

「こんな田舎では見たこともないハイカラな人。だっけえ。」

父の遠縁のツネオジさんから、ずいぶん昔に聞いた話。
                    
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by chigsas | 2013-08-01 06:32 | 小説