137. わたしが 私として 目を覚ます

vあたしの育った街には、お祭りってなかった。
デパートとか商店街の『xx祭り』という名前の
催しはあったけれど。

母さんの田舎で始めてお祭りに行ったときの、
あの感じ。心が重くなるの。

寂しいお宮の周りに夜店がいっぱい並んで、太鼓と笛の音。
提灯がつくから余計に暗い感じがする。
みんなが浮かれて歩いているのも怖かった。
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ヒトが、暗い空間の広がる地球の上で、暮らしていて、
内にため込んでしまう狂気を発散させる装置がお祭り。
って、そのとき、薄々気がついたのかもしれない。

わたしが、私として目を覚ます、最初の小さなトリガーだった。
母さんの田舎のお祭り。

あなたは、どこで、目を覚ましたのかなぁ?
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「お祭りって嫌い」って言ったとき、あなた、
何にも言わなかったから、
あなたの街にはお祭りがあるんだな、と思ったけれど。
あなたは、お祭りとか全然関心ないみたいに見えた。
それで、なんだかあたし、ほっとしたんだ。

あなたも、お祭りには関わりたくないんだ、
と私が勝手に決めて安心したのかもしれない。
by chigsas | 2011-07-02 20:18 | 小説