ホセアの女・・・1

それは、突然
一つの現実として、私の中に
立ち現れた。

ガラスのボウルに細く切ったキャベツ、
塩を軽くふったけれど、固くて水気に乏しいから、
思うようにしんなりしてくれない。

が、黄緑の色は美しく、春の朝にふさわしい。
食器棚から、何も考えずに持ってきた鉢、
濃いコバルトブルーの釉薬をはじかせて、
小さな粒状の斑を浮きだたせている。

キャベツとその器の色が響き合った瞬間。

「汝ゆきて淫行(いんこう)の婦人(をんな)を娶り、
淫行の子等をとれ・・・」

この言葉が、その通り頭に浮かんだのではないが、
文語訳旧約聖書の「ホセア書」。

食事の準備はそのまま中断して確かめた。

それと同時に
心に浮かんだ一人の若い女。

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