ホセアの女・・・9

けばけばしい建物、いや、
無骨な建物は古い黒っぽい茶色なのだ。
看板がケバい。
不思議なことに派手で男の欲望を挑発する目的の看板は、
建物のずっと遠くに立ててあるのだ。

年かさの女、Nかもしれないけれど違うかもしれない。
濃い化粧の顔、あかるく染めた髪、
路地を伺う男をかばうように建物に連れてはいる。
昼だのに、二人ともまるで影。

ゆらぐように、建物の入り口にきえた。
でも、いつ、どこで見たのだろうか。

見たんだ。
いや見たことなんかないはず。

あの若い女が働く建物など・・・
見たことはないはずだ。

あの犬と若い男は、
仕事から帰るあの女をいっしょに待つのだろうか?

水割りのグラスを前に、TVを見ている若い男。
傍で寝そべる犬。

女が選んだ若い男。




a0134863_16381172.jpg犬が選んだ女。
犬は退屈そうに、
骨の形に結んだガムを
かじっている。