突然はじけた?・・・6
もうその頃、父親は、いなかった。
一つ下の妹が生まれると直に
なくなったらしい。
父の記憶は全然なかった。
淀んだ印象の実の祖母から、
少女ひとりにだけに手渡される、
田舎臭い駄菓子の土産。
「かなしい」
という言葉を初めて理解したのは、
その土産を受け取った
手のひらの感覚、
だったんでしょうね。
畑から遅く帰ってきて夕飯の支度に追われる母親と、
口をきかなくてもすむことだけが、
そういう時には救いだった。
ふだんは、
お祖母さまの顔色をうかがいながら、
母親のそばにすり寄って、
割烹着の裾を掴もうとしてみた。
のでしょうに・・・。
いつも、
お祖母さまに手を引き戻されてしまう。
by chigsas
| 2011-12-22 04:16
| 短編小説