突然はじけた?・・・7
いつも、お祖母さまに手を引き戻されてしまう。
そして必ず、
一つ年下の妹が母親の割烹着の向こう側から
アカンベをして、パッと引っ込む。
いっそう口を固く結んで、
妹を見返すしかできなかった。
でしょうね。
様子、目に浮かびます。
裸電球の下の土間、
夏でも、寒かった記憶しかない、
広い台所。土の色のかまど、
板の間の床もちゃぶ台も暗かった。
かまどの向こうに貼ってあった「火の用心」だけは、
「煤けていても赤」だった。
そこで、押し黙ったまま
夕飯を食べる人たちもみんな、くすんだ茶色だった。
なぜか皆、茶色の服を着ていました。
ちゃぶ台の上のものも皆、
くらい茶色でした。
あの頃はどこもそうでしたね。
「きょうさぁ、N先生がねぇ、・・」
下の兄が、頭の中に溢れそうなことを
その場にそぐわない明るい色で、
ポロッとこぼすように、話しだす。
by chigsas
| 2011-12-26 16:24
| 短編小説