42. なぜ? それでも ・・・。
「イエスの言葉だけれど、このごろデザイナーにとって大事なことはこれかな? って思うんだ」
「?」
「一度自分をゼロにして、相手が欲しいと思っているものに気がつくこと。
デザイナーにとってというか、何でも同じ、かもしれないけど・・・」
「そんなことできないよ! 田絵子さんじゃなけりゃ!」
なぜあんな言葉言ってしまったんでしょう。あなたの顔色がさっと消えた。
「五月に、辻さん亡くなったんだ。・・ね。」
「あっ!!」
その後どうしたのか、全然覚えていません。
次の朝、早く目が覚めました。ぐっすり眠れていて、目が覚めた瞬間に、
「あの事務所に、体も心もどっぷりと浸かってみよう、私を変えよう!」
って思ったのです。やればできるかもしれない・・・。
なぜ、そう思ったのかしら。・・・でも。
部屋の真ん中に新聞紙を広げて、洗面器に水を汲んできて、タオルを固く絞って身体をごしごし拭きました。
昨日までの自分が、淡くなっていくようでした。
あの事務所の雰囲気に合う服、少ない中で探し、何度か着替えて、でも違うなと思いながら、それでも駅までの道、元気に歩きました。
事務所の鍵を開けると、玄関の靴入れに、新しいスリッパが並んでいました。
ちょっとゲレーがかった薄いピンクと白のストライプ。先生のとノブちゃんのとの色違いです。
うれしかった。
「?」
「一度自分をゼロにして、相手が欲しいと思っているものに気がつくこと。
デザイナーにとってというか、何でも同じ、かもしれないけど・・・」
「そんなことできないよ! 田絵子さんじゃなけりゃ!」
なぜあんな言葉言ってしまったんでしょう。あなたの顔色がさっと消えた。
「五月に、辻さん亡くなったんだ。・・ね。」
「あっ!!」
その後どうしたのか、全然覚えていません。
次の朝、早く目が覚めました。ぐっすり眠れていて、目が覚めた瞬間に、
「あの事務所に、体も心もどっぷりと浸かってみよう、私を変えよう!」
って思ったのです。やればできるかもしれない・・・。
なぜ、そう思ったのかしら。・・・でも。
部屋の真ん中に新聞紙を広げて、洗面器に水を汲んできて、タオルを固く絞って身体をごしごし拭きました。
昨日までの自分が、淡くなっていくようでした。
あの事務所の雰囲気に合う服、少ない中で探し、何度か着替えて、でも違うなと思いながら、それでも駅までの道、元気に歩きました。
事務所の鍵を開けると、玄関の靴入れに、新しいスリッパが並んでいました。
ちょっとゲレーがかった薄いピンクと白のストライプ。先生のとノブちゃんのとの色違いです。
うれしかった。
by chigsas
| 2009-10-10 06:24