2009年 07月 28日 ( 1 )

体の中からあふれてくるものを、どう現していいか分からない、それが
うっすらと涙になって流れてくるのをいっしょうけんめいこらえている。
田絵子さんの絵の女の子と自分が重なったようでした。

家の外ではいつもお互いに知らん顔の小兄さんと、
その日はいっしょに帰りました。
家のそばまで、ほとんどしゃべらないでいた兄さんが、ぽつんと言った言葉。

「田絵子さん、良い奥さんになるために、N高選んだんだって。
一年生の時、自己紹介で言ったけど・・・」
「・・・ほんとのことしか言えない人なんだなぁ・・・。 彼女。」
門の外で立ち止まってしまった私を残して兄さん、家に入っていきました。

「お医者様は、シハンビョウっていうんだけれど」
無造作にスカートの裾めくって、膝小僧見せてくれた、田絵子さん。
小さな紫色の斑点がいくつも、膝の周りに見えました。
余りじっと見てはいけないと、すぐ目をそらした私に、
「でも、それは、紫の斑点ができる症状のことで、そう言う病気は
無いかもしれないし。原因も治療法も分からないらしいの。」

体育館の壁に二人で並んで寄りかかっていました。
「シハンビョウ」という言葉の響きから「死」が連想されて
体が固まってしまった。
余計なこと聞いたと後悔して落ち込んだ私とは反対に
田絵子さんは、さらっと何気ない声。

しばらく黙った後、やっと「紫斑病」という文字が目に浮かんできました。

その日の見学は田絵子さんと二人だけでした。
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by chigsas | 2009-07-28 06:12